保険・備え

親の介護費用はいくら必要?在宅・施設別の目安と備え方

親の介護費用は、まだ先の話だと思っていても、ある日突然現実になります。

転倒して入院した。

認知症の症状が出始めた。

退院後に一人暮らしへ戻すのが難しくなった。

そんな出来事をきっかけに、「介護って実際いくらかかるの?」と調べ始める人は少なくありません。

私自身もまだ親の介護を本格的に経験しているわけではありません。

ただ、30代になると親の健康や老後の暮らしについて考える機会が少しずつ増えてきました。

普段は元気に見えていても、介護は突然始まることがあります。

その時に、お金のこと、施設のこと、誰が動くのかを何も話していないと、家族全員が慌ててしまいます。

結論から言うと、親の介護費用は在宅介護なら月数万円、施設介護なら月10万円以上かかることも多く、親が元気なうちに資産・希望・家族の役割を確認しておくことが大切です。

この記事では、親の介護費用の平均、在宅介護と施設介護の違い、介護保険で軽減できる費用、子どもが負担するケース、今からできる備え方をわかりやすく解説します。

親の介護費用は平均いくらかかる?

親の介護費用を考える時は、まず「一時的にかかる費用」と「毎月かかる費用」を分けて考える必要があります。

介護費用というと毎月のサービス利用料をイメージしやすいですが、実際には介護が始まるタイミングでまとまったお金が必要になることもあります。

費用の種類主な内容
一時的な費用介護用ベッド、車いす、手すり設置、住宅改修、施設入居金など
毎月の費用介護サービス利用料、施設費、食費、日用品費、おむつ代、医療費など

生命保険文化センターの2024年度調査では、介護にかかった一時的な費用の平均は47.2万円、月々の費用は平均9.0万円とされています。

また、介護を行った場所別では、在宅介護が月平均5.3万円、施設介護が月平均13.8万円とされています。

ただし、これはあくまで平均です。

介護度、介護期間、住んでいる地域、施設の種類、親の年金額や預貯金によって、実際の負担は大きく変わります。

平均額だけを見て安心するのではなく、自分の親の場合にどれくらい必要になりそうかを考えることが大切です。

在宅介護と施設介護では費用の考え方が違う

介護費用は、在宅介護か施設介護かによって大きく変わります。

在宅介護は、親が自宅で暮らしながら介護サービスを利用する形です。

施設介護は、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅などに入居して介護を受ける形です。

介護の形費用の傾向注意点
在宅介護月額費用は比較的抑えやすい家族の見守り・送迎・家事負担が大きくなりやすい
施設介護月額費用が高くなりやすい入居一時金や施設ごとの差が大きい

在宅介護は費用を抑えやすい一方で、家族の時間的・精神的な負担が大きくなります。

施設介護は家族の直接的な介護負担を減らしやすい一方で、毎月の費用は高くなりがちです。

どちらが正解というより、親の状態、家族の距離、仕事、きょうだいの協力、親の資産状況を合わせて考える必要があります。

在宅介護にかかる費用の目安

在宅介護では、介護保険サービスを利用しながら自宅で生活を続けることになります。

主な費用は、訪問介護、デイサービス、福祉用具レンタル、住宅改修、日用品費などです。

項目内容費用の考え方
訪問介護ホームヘルパーが自宅を訪問し、生活援助や身体介護を行う利用回数や内容で変わる
デイサービス日中に施設へ通い、食事・入浴・機能訓練などを受ける週何回利用するかで変わる
福祉用具レンタル介護ベッド、歩行器、車いすなどを借りる介護保険対象なら自己負担を抑えやすい
住宅改修手すり設置、段差解消、滑り止めなど必要に応じて一時費用がかかる
日用品費おむつ、介護食、衛生用品など毎月継続してかかる

在宅介護では、介護保険によって自己負担が原則1〜3割に抑えられるサービスがあります。

ただし、介護保険の対象外となる費用もあります。

たとえば、日用品、食費、交通費、家族の付き添いにかかる費用、介護のために仕事を減らした場合の収入減などは見落としがちです。

在宅介護は月額費用だけでなく、家族の時間と収入への影響まで含めて考えることが重要です。

施設介護にかかる費用の目安

施設介護では、どの施設を選ぶかによって費用が大きく変わります。

公的施設は比較的費用を抑えやすい一方で、入居待ちが長いことがあります。

民間施設は選択肢が多い一方で、月額費用や入居一時金が高くなる場合があります。

施設の種類特徴費用の傾向
特別養護老人ホーム常時介護が必要な人向けの公的施設比較的抑えやすいが、入居待ちがある場合が多い
介護老人保健施設在宅復帰を目指すリハビリ中心の施設長期入居目的ではないことが多い
介護付き有料老人ホーム介護サービス付きの民間施設月額費用が高くなりやすい
住宅型有料老人ホーム生活支援中心で、介護サービスは外部利用が多い介護サービス利用量で費用が変わる
サービス付き高齢者向け住宅安否確認・生活相談付きの高齢者向け住まい家賃、管理費、介護費が別になることが多い

施設介護では、月額費用だけでなく、入居時にかかる一時金にも注意が必要です。

入居一時金が不要な施設もありますが、数十万円から数百万円以上かかる施設もあります。

また、パンフレット上の月額費用には、医療費、日用品費、理美容代、外出時の交通費などが含まれていないこともあります。

施設を検討する時は、表示されている月額費用だけでなく、実際に毎月支払う総額を確認しましょう。

介護保険で軽減できる費用

介護費用を考えるうえで、介護保険制度の理解は欠かせません。

介護保険は、介護が必要になった人を社会全体で支える制度です。

要支援・要介護認定を受けることで、介護サービスを原則1〜3割の自己負担で利用できます。

  • 訪問介護
  • 訪問看護
  • デイサービス
  • ショートステイ
  • 福祉用具レンタル
  • 住宅改修
  • 施設サービス

ただし、介護保険を利用するには、まず市区町村に申請し、要介護認定を受ける必要があります。

親の状態が変わった時は、病院や地域包括支援センター、市区町村の窓口に相談しましょう。

また、介護保険には支給限度額があります。

限度額を超えてサービスを利用した分は、全額自己負担になる場合があります。

介護保険があるから何でも無料になるわけではありません。

介護保険は費用を軽減する制度であり、自己負担がゼロになる制度ではないと考えておきましょう。

高額介護サービス費制度も確認する

介護サービスの自己負担が大きくなった場合には、高額介護サービス費制度の対象になることがあります。

高額介護サービス費とは、1か月に支払った介護サービスの利用者負担額が一定の上限を超えた場合に、超えた分が払い戻される制度です。

上限額は所得や世帯状況によって異なります。

そのため、親の所得や世帯構成によって負担額が変わります。

注意したいのは、食費、居住費、日用品費などは高額介護サービス費の対象外になることがある点です。

施設介護では、介護サービス費以外の支出も大きくなるため、制度の対象になる費用と対象外の費用を分けて確認しましょう。

医療費控除の対象になる介護費用もある

介護費用の一部は、医療費控除の対象になる場合があります。

国税庁は、介護保険制度下での居宅サービスや施設サービスについて、一定の条件を満たすものは医療費控除の対象になると案内しています。

たとえば、訪問看護、訪問リハビリ、通所リハビリ、短期入所療養介護など、医療との関係が強いサービスは対象になる場合があります。

施設サービスでも、介護老人保健施設や介護医療院などの費用の一部が医療費控除の対象になることがあります。

ただし、すべての介護費用が対象になるわけではありません。

日常生活費、理美容代、特別なサービス費用などは対象外になる場合があります。

領収書に医療費控除対象額が記載されることもあるため、介護費用の領収書は必ず保管しておきましょう。

親のお金で介護できるか確認する

介護費用を考える時に、まず確認したいのは親本人のお金です。

子どもがすぐに負担する前に、親の年金、預貯金、保険、不動産などを把握する必要があります。

  • 毎月の年金額
  • 預貯金の金額
  • 生命保険や医療保険の内容
  • 介護保険以外の民間保険
  • 持ち家の有無
  • 住宅ローンや借金の有無
  • 通帳や印鑑、保険証券の保管場所

親のお金の話は、とても切り出しにくいテーマです。

しかし、介護が始まってからでは、本人が判断できない状態になっていることもあります。

親が元気なうちに、「もし介護が必要になった時に困らないように確認しておきたい」と伝えると話しやすくなります。

介護費用は、親のお金をどう使うかを先に確認し、足りない部分を家族でどう支えるか考える順番が基本です。

子どもが介護費用を負担するケース

親の年金や預貯金だけで介護費用をまかなえない場合、子どもが負担することもあります。

ただし、子どもにも住宅ローン、教育費、生活費、老後資金があります。

親の介護費用をすべて子どもが背負うと、子ども世帯の家計が崩れてしまうこともあります。

子どもが負担する場合は、次の点を確認しましょう。

  • 毎月いくらまでなら負担できるか
  • きょうだいでどう分担するか
  • 介護をする人とお金を出す人の負担差をどう考えるか
  • 親の資産をどう使うか
  • 公的制度で軽減できる費用はないか

きょうだいがいる場合、「近くに住んでいる人が介護をする」「遠方の人がお金を多めに負担する」など、家庭によって分担方法は異なります。

大切なのは、曖昧にしないことです。

介護が始まってから負担感が積み重なると、きょうだい間の関係が悪化することもあります。

介護離職は慎重に考える

親の介護が始まると、「仕事を辞めて面倒を見るしかない」と考える人もいます。

しかし、介護離職は慎重に考える必要があります。

仕事を辞めると、収入が減るだけでなく、自分の将来の年金やキャリアにも影響します。

介護はいつまで続くか分かりません。

数か月のつもりが、数年続くこともあります。

介護離職を決める前に、次の選択肢を確認しましょう。

  • 介護休業制度を利用できないか
  • 勤務時間を調整できないか
  • 地域包括支援センターに相談したか
  • 訪問介護やデイサービスを増やせないか
  • ショートステイを利用できないか
  • きょうだいや親族で分担できないか

介護は一人で抱えるものではなく、制度と家族と専門職を組み合わせて支えるものです。

仕事を辞める前に、利用できる制度を確認することが大切です。

施設選びで費用以外に見るべき点

施設を選ぶ時は、費用だけで決めないことも大切です。

安い施設が悪いわけではありません。

高い施設が必ず合うわけでもありません。

親の状態や性格、家族が通いやすい距離、医療対応の有無なども確認しましょう。

  • 親の介護度に合っているか
  • 認知症対応が可能か
  • 医療的ケアに対応できるか
  • 家族が面会しやすい場所か
  • 月額費用の内訳が明確か
  • 退去条件が分かりやすいか
  • 追加費用が発生しやすい項目は何か

施設見学では、パンフレットの金額だけでなく、実際に毎月どれくらい支払う可能性があるかを確認してください。

「介護度が上がった時に費用がどう変わるか」も重要です。

入居時は問題なくても、介護度が上がると追加費用が増えることがあります。

親が元気なうちに話し合うべきこと

介護の話は、親が元気なうちほど切り出しにくいものです。

しかし、元気なうちでなければ確認できないこともあります。

たとえば、親本人の希望です。

  • できるだけ自宅で暮らしたいか
  • 施設入居に抵抗があるか
  • 介護費用はどのお金から出してほしいか
  • 延命治療についてどう考えているか
  • 財産管理を誰に任せたいか
  • きょうだいにどこまで共有してよいか

いきなり「介護費用はいくらあるの?」と聞くと、親も身構えてしまいます。

最初は、「将来困らないように、少しずつ確認しておきたい」と伝えるくらいで十分です。

一度で全部話そうとせず、何回かに分けて話す方が現実的です。

介護費用に備える方法

介護費用への備えは、特別なことから始める必要はありません。

まずは、親と子どもの家計を混ぜずに、情報を整理することから始めましょう。

  1. 親の年金額と生活費を確認する
  2. 親の預貯金や保険を整理する
  3. 介護が必要になった時の希望を聞く
  4. きょうだいで役割分担を話す
  5. 地域包括支援センターの場所を調べる
  6. 介護保険制度の基本を知る
  7. 自分の家計から出せる上限を決める

介護は、お金だけでなく時間も必要です。

そのため、費用の備えと同時に、誰が手続きするのか、誰が病院に付き添うのか、誰が施設を探すのかも考えておくと安心です。

介護の備えは、貯金額だけではなく、情報共有と役割分担まで含めて準備することが大切です。

参考記事・出典

まとめ

親の介護費用は、在宅介護か施設介護かによって大きく変わります。

生命保険文化センターの調査では、介護にかかった一時的な費用の平均は47.2万円、月々の費用は平均9.0万円とされています。

ただし、平均はあくまで目安です。

在宅介護では費用を抑えやすい一方で、家族の時間的負担が大きくなります。

施設介護では家族の負担を減らしやすい一方で、月額費用や入居一時金が重くなることがあります。

介護保険、高額介護サービス費、医療費控除など、費用を軽減できる制度もありますが、すべてが無料になるわけではありません。

大切なのは、親が元気なうちに、年金、預貯金、保険、不動産、介護の希望を確認しておくことです。

介護費用の備えは、お金を貯めることだけではなく、家族で情報を共有し、役割を決めておくことです。

突然の介護で慌てないように、今できる小さな確認から始めてみましょう。

この記事の振り返りFAQ

親の介護費用は平均でいくらかかりますか?

生命保険文化センターの2024年度調査では、介護にかかった一時的な費用は平均47.2万円、月々の費用は平均9.0万円とされています。ただし、介護度や期間、在宅か施設かによって大きく変わります。

在宅介護と施設介護ではどちらが安いですか?

一般的には在宅介護の方が月額費用を抑えやすい傾向があります。ただし、家族の見守り、送迎、介護時間、介護離職による収入減も含めて考える必要があります。

介護保険を使えば介護費用は無料になりますか?

無料にはなりません。介護保険により対象サービスの自己負担は原則1〜3割になりますが、食費、居住費、日用品費、対象外サービスなどは自己負担になることがあります。

親の介護費用は子どもが負担するべきですか?

まずは親本人の年金、預貯金、保険、不動産などを確認するのが基本です。そのうえで不足する場合に、子どもがどこまで負担できるか、きょうだいでどう分担するかを話し合いましょう。

介護費用を抑える制度はありますか?

介護保険、高額介護サービス費、医療費控除などがあります。ただし、所得やサービス内容によって対象範囲が異なるため、市区町村や税務署、ケアマネジャーに確認しましょう。

介護費用の準備はいつから始めるべきですか?

親が元気なうちから始めるのが理想です。介護が必要になってからでは、本人の希望や資産状況を確認しにくくなることがあります。

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